社会学?福祉学研究

社会学?福祉学研究からのアプローチ

災害復興の社会科学的研究

山﨑 真帆 助教
現代社会学科 社会学専攻
山﨑 真帆 助教
社会学や文化人類学の考え方にもとづき、災害復興について研究しています。災害についての、いわゆる「文系」視点からの研究です。特に「被災地」なのかそうではないのか、「被災者」なのかそうではないのか、どっちつかずの地域?人々と「復興」という考え方?しくみがどうかかわるのか、注目してきました。

また最近は、被災地域に移住した元ボランティアの方たちの活動と復興との関係にも関心を持っています。こうしたテーマに取り組むために、東日本大震災の被災地域でのフィールドワーク(現地での調査)を続けてきました。

なぜこの研究を始めたのですか?

大学2年生の頃に発生した東日本大震災が大きなきっかけとなりました。大学を休学(許可を得てしばらく休む)し、被災者支援団体のスタッフとして2年間、宮城県の津波被災地域で活動した経験があります。その経験のなかで目の当たりにした復興の現場におけるさまざまな課題に対し、学問を学ぶことで何かできることはないか探りたいと考え、大学院への進学を決意しました。

社会との関わりは??

地球温暖化等を背景に、近年、災害は激甚化(激しくなる)?頻発化(回数が増える)?広域化(被害が広い範囲におよぶ)しています。日本でも、災害被害を減らす防災?減災、すでに起きてしまった災害からの復興が大きな社会課題となっています。災害の領域において「当事者」とはみなされにくい人々に注目する研究に取り組むことで、防災?減災や復興の新たなかたちを考える際の役に立てればと考えています。

社会の中でどんな応用の可能性がありますか?

災害に限らず社会的な課題においては、「当事者」だとみなされない、あるいはみなされにくい人々が発言しにくくなるという構図がしばしば生じます(「この問題について発言する権利はあなたにはない」などと言われたことはありませんか?)。私の研究は、「当事者」だとみなされない、みなされにくい人々に着目することの重要性(たとえば、課題を解決する新しいしくみが生み出されるのではないか?)を示すものであると考えます。

これから学ぼうとする人たちに向けて、研究領域の魅力を伝えるメッセージをお願いします。

災害の研究と聞くと、災害が生じるメカニズムの解明や、予知やコントロールといったいわゆる「理系」の知識?技術が頭に浮かぶと思いますが、「文系」の知識?技術をもとに、私たち人間の側が災害に備えて社会の「弱い部分」を変えていくことも重要です。「災害大国」日本で暮らし続けていくためにも、文系の災害研究にチャレンジしてみませんか?