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2022年度東北文化学園大学?東北文化学園大学大学院入学式 学長訓示

東北文化学園大学入学式
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東北文化学園大学入学式
東北文化学園大学入学式
 皆さん、本日はご入学誠におめでとうございます。皆さんを仙台の街並みを見下ろす国見の丘に建つ東北文化学園大学に迎えることができたことを、教職員一同、とてもうれしく思っています。保護者の皆様にも心からお祝いを申し上げます。

 東北文化学園大学は1999年に設立されて3年前に20周年を迎え、それを機に建学の精神と理念を「足球竞彩app排名」と定めました。「輝ける者」とは、自立した力を持ち、他者とかかわり合いながら、未経験の問題に応える人です。

 突然ですが、今から、30秒の時間を差しあげますので、眼をつぶって自分が卒業した時にどんな「輝ける者」になっているか想像してみて下さい。卒業の時にこんな自分になっていたいという理想を高く掲げてみてください。30秒が経ちました。今、皆さんが掲げた理想に向かって、これから進んでいくのを我々はしっかりとサポートします。もし途中で心配なことがあったら、いつでも我々教職員や学生相談室に相談してください。

 さて、これからお話しすることは先日の学位記授与式、つまり卒業式でもお話ししたことです。最近、教育の分野でよく耳にする「grit」の話です。日本語では「やり抜く力」と訳されています。先日、アンジェラ ダックワースという米国の女性心理学者が書いた「gritやり抜く力」に関する本を読みました。神崎朗子という方が翻訳しています。入学を機に一読をお勧めします。

 ダックワース博士は、膨大な客観的データに基づく「やり抜く力」の研究で大変有名です。両親は中国からの移民で、父親はデュポンという米国に本社がある世界的な化学メーカの研究者として成功し、研究者としては社内で最高の地位についた後に定年退職しています。ダックワース博士自身は、子供の頃は決して成績抜群というわけではなかったそうですが、ハーバード大学を優秀な成績で卒業し、イギリスのオックスフォード大学で博士号を取得、マッキンゼーという米国に本社をおく世界的なコンサルタント会社に就職しています。ところがその後、この超一流企業を退職して、公立中学校の教員になります。そこでの経験がその後の博士の独創的な研究につながったようです。

 担当したクラスには頭の回転が速く、呑み込みがとても速い生徒が何人かいた一方で、そうでない生徒たちは授業について行くのに苦労したようです。ところが最初の学期の成績評価をしたところ、能力が高い生徒たちの成績は必ずしも思ったほど良くなく、逆に最初は問題が解けずに苦労していた生徒の中に、予想以上に良い成績を取った生徒が何人もいたそうです。よく伸びた生徒たちは欠席をせず、授業態度がよく、ノートをしっかりとり、よく質問をしたそうです。最初からすぐに問題を理解できなくても、理解するために教師の力を借り、こつこつと努力を続けたことが成績に表れたようです。これは多くの教員が経験することかもしれません。また、大学での成績は決して入試の成績と関連しないというのも今や常識です。このような経験がダックワース博士の「やり抜く力」の研究を「やり抜く」きっかけの一つとなったことは間違いなさそうです。

 この本に出てくる他の例の一つが、米国陸軍士官学校です。全米から14,000人以上の高校生が志願し、全米共通の学力試験や高校での成績、リーダーとしての資質、体力測定により最終的に1,200人が入学を許可されるそうです。皆、文武両道の超エリートたちです。ところが、5人に1人は卒業前に中退し、しかもその大半は入学直後の厳しい訓練に耐えられなくて辞めるそうです。ダックワース博士の研究結果によれば、訓練を乗り越えられるかどうかは、入学時の成績ではなく、「やり抜く力」を測る10項目のスケールで予測できるとのことです。この本では、他の様々な実例が客観的なデータと共に示されていて、その結論はビジネス、サイエンス、芸術、スポーツなどどんな分野においても、「成功している人」は、学歴や知能指数、才能に恵まれているのではなく、「やり抜く力」、つまり長期的な目標を達成するための「情熱」と「粘り強さ」を持っているというものです。「やり抜く力」は生まれ持った性質ではなく、何歳でも獲得でき、向上させることができるとも言っています。

 ここで、先ほど皆さんに考えてもらった卒業時にどんな「輝ける者」になっているかを思い出してください。自分が理想とする職業を選んで社会人としての第一歩を歩み始めている姿を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。その夢を実現するためには「やり抜く力」はとても大事です。この本の締めくくりの言葉はとても印象的です。ここで名前が出てくるコーツという方は、米国の著名なジャーナリストです。以下に引用します。

 「おまえは天才じゃないんだ」子供のころ、いつも父にそう言われた。今にして思えば、父は私だけでなく自分に向かってそう言っていたのだ。「天才」という言葉を「努力もせずに偉業を成し遂げること」と定義するなら、父の言ったことは間違っていない。私は天才ではないし、父も天才ではない。しかし、「天才」とは「自分の全存在をかけて、たゆまぬ努力によって卓越性を究めること」と定義するなら、私の父は天才だ。私もコーツも天才だ。そしてあなたにも同じ覚悟があれば、あなたも天才なのだ。

 結びに、私たち東北文化学園大学の教職員は、皆さんがやり抜く力を発揮し、卒業の時、一人ひとりが光り輝いていることを心から願っていること、その実現のために私たちが常に皆さんのそばにいるのを忘れないで欲しいことをお伝えして、入学のお祝いの言葉とします。

2022年4月5日
東北文化学園大学
学長 加賀谷 豊